近年、動かなくなってしまった車、いわゆる「不動車」の処分に悩む方が増えてきています。まだ普通に動いてくれるような車ならば、中古車として査定してもらい、下取りや売却に出してしまえば簡単に手放すことができますが、不動車は一筋縄ではいかないのが厄介なところです。
しかし、あまり知られていないことですが、「不動車はお金になる」のです。車とは言わば資源の塊ですから、仮に車として満足いく価値がなくなったとしても、別の観点から見れば価値がある。このようなカラクリで、不動車や廃車を専門に取り扱う業者が存在しています。
そこでこの記事では、不動車に関する基本的知識を紹介した後に、不動車を少しでも高く売却するためのポイントについて解説をしています。不動車の手放し方に悩んでいる方は必見ですよ。
不動車をお金をかけて処分してしまう前に・・
世の中には、不動車を手放す上で2種類の人間が存在しています。それが、
- お金と手間をかけて処分する人
- お金をもらって楽に処分する人
そしてこの両者の差は、「不動車がお金になることを知っているか知らないか」という点に集約されるのです。
そもそも、不動車とは?
そこでまず、不動車とはそもそもどういったものなのかを解説させていただきます。
結論から言えば、不動車とは「動かない車」のことではありません。字から読み取るとまさに動かない車のことなのですが、もう少し広い範囲まで適用される言葉なので、注意が必要です。
では、どのような車のことを不動車と呼ぶのかと言えば、以下の4つのパターンが主に該当します。
- 事故や故障で動かない
- 自然災害で動かない
- 車検が切れている
- 長期間乗る人がいない
それぞれについて、順番に見ていきましょう。
事故や故障で動かない
まずは「事故や故障で動かない」というパターンですが、これが不動車としてイメージされる代表的なものではないでしょうか?
そして、この事故・故障による不動車のパターンは、さらに以下のように細分化して分類することが可能です。
- 経年劣化で動かない
- 純然たる不動車。不動車の中では状態は良い。
- 事故の影響で動かない
- 不動車に加え事故車。評価額に影響を与える可能性も。
- 事故+修理+動かない
- 不動車・事故車・修復歴車。不動車の中では状態が悪い。
以上のように、不動車とは消費者が勝手に呼んでいる呼称ではなく、自動車業界で使用されている専門用語のようなものなのです。単に不動車と言っても、経年劣化により動かなくなった不動車、事故の影響で動かなくなった不動車・事故車、事故歴・修復歴がある不動車・事故車・修復歴車・・、といったように分類されます。
いずれにせよ、これらのどれかに該当すれば、その車は不動車ということになりますので、業者経由で手放すことが推奨されますよ。
自然災害で動かない
年々激甚化する日本の自然災害で、特に大規模な河川氾濫や地震により不動車となってしまうケースも存在しています。事故と同じように、自然災害も事故車として扱われることが多いので、正確に言えば不動車でもあり事故車でもあるといったイメージになるので、不動車の状態としてはあまり良いとは言えないでしょう。
特に水害による自動車への悪影響は非常に厄介で、基本的には電気系統がやられたらその車は使い物になりません。もちろん、修理をできないことはないですが、それなら中古車でも買った方が安上がりだし状態も良い・・、といった話になってしまうので、水害による不動車は今後も一層増えていくことでしょう。
車検が切れている
さて、故障や自然災害で動かなくなった車のことを不動車と呼ぶということを解説してきましたが、なにも自走できなくなった状態の車だけを不動車と呼ぶわけではありません。
例えば、「車検が切れている」車のことも、不動車と認識されることが一般的です。車検は車が公道を走る上で必要な、法律上定められているものになるので、これをしていないと実質的に走れない車ということになるので、不動車と呼ぶことになると考えれば、特に違和感はないと思います。
もちろん、改めて車検に出してそれが通れば、再度普通の車として使用することが可能です。しかしながら、「車検場に行くには車を運転しなければいけない」わけですが、このタイプの不動車は公道を走れない状態になっているので、どれだけ身近に車検の検査所があったとしても、業者経由で車を運搬してもらわなければいけません。
そしてこれは、不動車を処分する際も同じ。自分で処分する際に、諸々の手続きが必要になるのですが、それを車検切れの車で移動して行うことはもちろん不可能なので、この点だけは本当に気をつけましょう。
長期間乗る人がいない
最後に紹介する不動車の例が、「長期間乗る人がいない」という車です。車は常に使用し続けると車体が劣化していくものですが、一方で全く使われないと、それはそれで悪影響を受けてしまうという側面を持っています。
このように、長期間乗る人が存在せず、「ちゃんと動くか分からない」という状態の車も、不動車として扱われることが一般的です。とはいえ、このタイプの車はもしかしたら動くかもしれませんし、簡単なメンテナンスや部品交換で動く可能性も秘めているので、故障や自然災害系の不動車とは一線を画します。
場合によっては不動車として処分するのではなく、中古車として処分した方がお金になるため、このタイプの不動車をお持ちの方は取り扱いに注意してくださいね。
専門の買取業者を利用しよう
さて、まずは不動車がどういった車を指すのかを解説してきましたが、簡潔に言えば「何らかの影響で動かない・走れない車」のことを不動車と呼ぶといったイメージを持ってもらえれば問題ありません。
そして、このような不動車の処分には、「専門の買取業者」を利用するのが最もベターです。
ディーラー持ち込みだと処分代を請求される可能性も
しかし、不動車の処分方法として最もオーソドックスなものが、「ディーラー持ち込み」ではないでしょうか?確かに普段お世話になっているディーラーさんなら、話もすぐに出来ますし、安心して任せられるのは間違いありません。
一方で、処分してもらうのはあくまで不動車であり、中古車ではないので、下取りも出来ませんし売却も不可。大抵の場合で数万円の処分代金を請求されるので、少しでも出費を抑えてお得に不動車を処分したいなら、ディーラー持ち込みはあまり有力な選択肢ではありません。
買取業者はメリットがこんなに
一方で、専門業車による処分方法ならば、たくさんのメリットを享受することができちゃいます。
まず目につくメリットが、金銭的なもの。なんと業者の中には「0円以上保証」を標榜しているところもあったりして、「少なくとも損はしない」というのが不動車買取の基本的な認識です。基本的に不動車は「損をして処分する」とされているので、損をしないと聞いただけで、気持ちがかなり楽になる方も多いと思います。
また、車を手放す上での事務手続きなども当然代行してくれるので、手軽に処分をすることができるのもまた、大きなメリットではないでしょうか?特に自分で全ての手続きをやるとなると、平日昼間しかやっていないお役所関係に足を運ばなければいけないケースも出てくるので、そういった意味でも、業者の活用は積極的に行うべきです。
加えて、「出張・レッカー無料」という点も、業者を利用するメリットだと言えます。不動車を自分の手で処分する場合、何かしらの方法で移動をする必要が出てきます。そしてこの移動は、自分自身の肉体もそうですし、不動車の移動も該当しますよね。
例えば、不動車しか所有していない場合、色々な場所に車なしで移動するのは、相当しんどいことではないでしょうか?また、不動車を解体業車に持ち込む場合も、当然不動車は動けないか、あるいは車検切れの状態になっているので、自走不可・公道走行不可となっていますよね。
要するに、レッカーが必要になるので、これもまたお金と手間がかかってきます。
まとめると、不動車を買取業者経由で処分することで、
- お金になる
- 手間を削減できる
このような恩恵を受けられちゃうんです。これを聞けば、買取業者を利用しない手はないですよね。
次の章では、このような不動車を専門的に扱う業者に対して、「少しでも利益を生むために大切なこと」を中心に深掘りしていきます。出来るだけ早く、楽に、お得に不動車を処分したいなら、必見の内容となっていますよ。
不動車で少しでも利益を生むために大切なこと
というわけで、この章では不動車を業者買取してもらうに当たって、「少しでも利益を生むために大切なこと」という観点から、お話を進めていきます。
ラインナップとしては、以下の通りです。
- 先延ばしにしない
- 複数業者で比較をする
- 足元を見られない
- 車体情報を詳細に伝える
- 最低限車を綺麗にしておく
それぞれの情報について、順番に確認していきましょう。
1:先延ばしにしない
まずは極めて基本的なことにはなるのですが、「先延ばしにしない」ということは本当に大事です。
人間という生き物は、必要に迫られないとなかなか動けないものであり、不動車ともなると「面倒さ」しか感じられませんから、『まあ、また今度でいいか・・』という意識が極めて強く働いてしまいます。
しかし、先延ばしにすればするほど、実は損をしていってしまうのが、不動車の非常に厄介な性質なのです。
不動車も税金がかかる
というのも、不動車も「車」という文字が入っていることからも分かるように、れっきとした「車」です。したがって、当然自動車税がかかってきます。あの年度始めの4月に市役所などから送られてくる封筒のことですね。
そしてこの自動車税というのは、言わば一年分の「前払い」であるため、仮に年度の途中で車を手放した場合、自動車税の還付を受けることができるのです。つまり、当然自動車を手放すタイミングが早ければ早いほど、還付される自動車税は多くなることになります。
なお、この自動車税の還付については、軽自動車は対象外ですので、この点は注意しておきましょう。
月・年度またぎは大損する
また、自動車税の還付に関してさらに突っ込んだ話をすれば、「月・年度またぎ」は絶対に避けなければいけません。というのも、自動車税の還付金の計算式は「日割りではなく月割り」となっているから。
つまり、次の月に1日でも足を踏み入れてしまうと、支払った自動車税のうち「1/12」を損することになってしまうのです。
また、仮に年度をまたいでしまうと、その年度の自動車税を一旦支払った上で、処分を行う必要が出てきます。あとで返ってくるものではありますが、普通車以上の車の自動車税は決して安くはありませんから、無駄な現金の流出を防ぐという意味でも、年度またぎは厳禁です。
要約すると、
『不動車の処分を先延ばしにすればするほど損をするから、できるだけ早く行動開始しよう』
このようになります。「善は急げ」や「思い立ったが吉日」ではないですが、この記事を読んだ後に、早速専門業車にアポを取ってみることを推奨しますよ。
2:複数業者で比較をする
さて、まずは「善は急げ」が大事であることをお話ししてきましたが、複数の業者で比較検討をすることもまた、不動車をより高い金額で買い取ってもらう上で大事なことになります。
車に限らず、何かを売却する時には、複数の業者に見積もりを出すのが一般的ではありますが、こと不動車においてはなおさら大事なことなので、絶対に覚えておいて欲しいポイントです。
業者ごとに価値が大きく変わる
というのも、不動車は買取業者ごとに、大きく評価が変わってくるものだから。皆さんは、全く動かなくなった車が、どういう目的で買い取られるのかをご存知でしょうか?
先述の通り、車は資源の塊ですから、当然資源として再利用される価値があるからこそ、お金を支払ってまで買取をする業者が存在するわけですが、この資源を「どのような資源」として見るかは、業者ごとに違ってくるんですね。
具体的例をあげれば、このようになります。
- リサイクル部品として販売
- 海外輸出業者への販売
- スクラップ処理をして鉄として販売
ある車を「リサイクル部品の塊」として見ることもできますし、「海外で中古車として売る」と見ることもできますし、シンプルに「鉄の塊」として見ることもできますから、当然「この値段で欲しい」と思う金額も変わってくるというのがカラクリです。
したがって、不動車買取業者を利用する際には、必ずいくつかの業者の見積もりを取って、その中から最も最高額の業者を選ぶようにしましょう。
3:足元を見られない
不動車買取に限りませんが、「足元を見られない」という視点も、私たち消費者は持っておく必要があります。
というのも、基本的に不動車に対して「価値0のゴミ」と皆さん認識されていますよね?これが、例えば引き取り費用無料で「10,000円」で売れたとしたら、素直に喜んじゃいますよね?
でも、もしかしたらその業者は、
『価値ないと思っているだろうから、1万円って言っても多分OKしてくれるよね』
といった具合に、私たちの足元を見ている可能性も否定できません。このようになってしまうと、終始業者のペースで買取が進んでしまい、本来受け取れていたはずの金額を、受け取れないまま「損をする」ことになりかねませんよね。
希望金額は伝えないようにしよう
したがって、売却のお話をする際には、希望金額などは伝えないようにする方が賢明だと言えます。仮に何か聞かれたとしても、以下のようなことをお話しておけば、向こうにも相応のプレッシャーがかけられるでしょう。
- 出来るだけ高い金額でお願いします
- 複数業者に見積もってもらっています
間違っても、向こうに強気に出れるような情報を与えないようにしてくださいね。
4:車体情報を詳細に伝える
不動車を出来るだけ高く買取業者に買い取ってもらうためのポイントとして、「車体情報を詳細に伝える」という点があげられます。
先ほどもお話した通り、不動車のその後の扱いは、基本的には以下の3つのパターンです。
- リサイクル部品として販売
- 海外輸出業者への販売
- スクラップ処理をして鉄として販売
この際、車体にどれほどの価値があるのかで、その後の業者としての利用価値も大きく変わってきますから、自分で自分の車の情報を少しでも多く与えることで、より高い価値を見出してもらえれば、それだけの金額が返ってくるということになるのです。
評価が上がりやすい要素はこれ
では、一体どのような情報や要素が、買取評価を高めてくれるのでしょうか?あくまで参考程度ですが、一般的なものをあげると以下のようになります。
- サンルーフ
- アルミホイール
- 純正カーナビ
- 純正パーツ
- フロアマット
- シートカバー
- タイヤの寿命
- ワンオーナー
- ETC
- ドライブレコーダー
- エアバック
- ブレーキパッド
- ライト関係
これらの要素のうち、「自分の車はここが自慢だ」というポイントを買取前に伝えておくだけで、少しでも高い評価になることは往々にしてあること。情報を与えるだけで多少なりとも高く評価してもらえるなら、積極的にやっておくべきだと思いますが、皆さんとしてはいかがでしょうか?
5:最低限車を綺麗にしておく
不動車の買取評価を上げるためには、「最低限車を綺麗にしておく」ということもやっておきたいポイントです。もちろん、その車が買取業者の手に渡ってから、再び車として生きていくのか、それとも資源として生きていくのかは私たちには分かりません。
それでも、多少なりとも綺麗な状態になっていた方が、手放す側も受け取る側も、気持ち良いのでやっておいて損はないのではないでしょうか?
少しでも好印象を狙うのが大事
結局のところは、評価をするものまた人間なので、ゴミとして車を買取に出されるよりは、ある程度車としての体裁を保った状態で買取に出してくれた方が、高い評価をつけてあげたくなるものです。
実際に金額に影響がでるかどうかは分かりませんし、数十万円の差になることもないでしょう。しかし、自分が乗ってきた車ですし、最後くらいは必要最低限のお手入れ・お掃除をしてあげた上で、買取に出してあげましょう。これで相場よりも少しでも高い値段で売れてくれれば、儲けものですね。
修理は絶対にしないこと
一方で、不動車の買取評価額を少しでも上げるために、『修理できるところは修理しておこう』と考えて、自費で業者を呼んで修理をしてもらうことを考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、これは「骨折り損のくたびれもうけ」になる可能性大なので、買取評価額を上げるための修理については、絶対にしないようにしましょう。
先述の通り、車の状態を表現する言葉にはいくつか存在していて、
- 不動車
- 事故車
- 修復歴車
このように呼ばれるのですが、このうち「修復歴車」は大きなマイナスポイントになってしまうので、修理をしたとしてもそこにかけた金額以上のものを、買取の際にもらえることはほとんどないのです。
そもそも、不動車の時点でその車の今後は資源として利用される可能性もあるので、修理をしてもそれが買取に反映されないことも往々にしてあります。したがって、最低限の掃除・お手入れはするとしても、故障箇所の修理はしないようにしてくださいね。
もちろん、不動車ならばバッテリー交換やオイル交換、エンジンのお手入れなども不要ですから、基本的にはノータッチで問題ありませんよ。
保管状況に気を遣おう
上記に加え、保管状況に気を遣うことで、評価額の無駄な減少を起こさないことも大事です。車のボディは基本的に金属で作られており、この資源的価値を見出して買取をしたいという業者が山ほどいるのです。
ですが、雨風に容易に晒されるような状態、あるいは土埃を常にかぶる状態で保管されていれば、当然劣化するスピードは早くなっていきますし、見栄え上も非常によろしくありません。
だからこそ、たとえ不動車だとしても、保管する環境・状況に気を遣うことは大事ですよ。今すぐ手放すわけではない方は、車用のカバーを買ったりして、出来るだけ劣化しないような状態で保管をしておくことを心がけましょう。
まとめ
というわけで、この記事では「不動車の買取」という観点から、不動車の基本的知識に加え、少しでも業者に高く見積もってもらうためのポイントについて解説をしてきました。
業者によっては「0円以上保証」なんてことをやってくれているので、不動車でも走行距離がとてつもなく多い車でも、少なくとも損をしないのが買取業者を利用する最大のメリット。ディーラーの手を借りたり、自分で処分することになると、お金も手間もかかってしまうので、必ず買取業者を利用して、賢く不動車を手放すようにしましょうね。
また、不動車を手放す際には、任意保険などの解約も同時に行っておくことを忘れずに。
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